臨床血液
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39 (EL-39)
血栓性血小板減少性紫斑病の治療
八木 秀男
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キーワード: TTP, USS, ADAMTS13, Rituximab
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2021 年 62 巻 8 号 p. 1222-1228

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抄録

血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)は稀かつ予後不良な疾患である。本疾患は細血管障害性溶血性貧血,消費性血小板減少,臓器障害を特徴とし,微小血管における血小板血栓形成によって引き起こされる。現在,TTPはvon Willebrand因子(VWF)を特異的に切断する酵素であるADAMTS13活性が著減することが明らかとなり,同酵素活性が10%未満となることがその診断に必要不可欠となっている。先天性TTP(USS)はADAMTS13遺伝子変異,後天性TTPは抗ADAMTS13抗体の産生によって発症する。治療としては先天性TTPでは血漿輸注,後天性TTPでは血漿交換に免疫抑制療法としてprednisoloneならびにrituximabが有効である。最近,新規薬剤としてVWFに対する抗体であるcaplacizumabや遺伝子組み換えADAMTS13製剤の有用性が海外で報告されており,さらなる治療成績の向上が期待されている。

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© 2021 一般社団法人 日本血液学会
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