2022 年 63 巻 10 号 p. 1363-1372
当院でtisagenlecleucelの輸注を受けた再発難治性びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫患者について後方視的に解析した。治療効果の評価が可能であった21例のうち,85.7%でサイトカイン放出症候群(cytokine release syndrome, CRS)を発症した。Tocilizumabおよびステロイドの使用は66.7%,28.6%であり,grade 3以上のCRSは9.5%にとどまった。CAR-T輸注からの観察期間の中央値は6.3ヶ月であった。3ヶ月後の完全寛解率は61.9%(95% confidence interval [CI]: 38.4~81.9)であった。6ヶ月時点の無増悪生存割合と全生存割合はそれぞれ53.1%(95%CI: 28.3~72.7)および69.2%(95%CI: 43.7~84.9)であった。輸注後の血球減少,低γグロブリン血症を高頻度に認めた。JULIET試験の基準を満たさない患者は8例(38.1%)認めたが,治療効果や有害事象の頻度に差はなかった。実地診療におけるtisagenlecleucelの投与は臨床試験と同等の治療効果およびより良好な安全性を示した。