2022 年 63 巻 10 号 p. 1397-1401
NUP98::DDX10は急性骨髄性白血病(AML)における稀な融合遺伝子であり,同種移植の適応や予後に関する知見は不十分である。症例は48歳女性,NUP98::DDX10を有するAMLであり,PCRで検出される同融合遺伝子の発現量を微小残存病変(MRD)の指標とし治療選択を行った。2019年8月寛解導入療法により血液学的寛解となったが,地固め療法4回後にMRDが増加した。そのため2020年5月に全身放射線照射(12 Gy)を含む骨髄破壊的前処置後に臍帯血移植を行った。6月の骨髄検査でMRDが消失せず,免疫抑制剤の中止,azacitidineの投与後にもMRDが増加。2021年1月に血液学的再発となった。治験薬,高用量cytarabine療法を行ったが急速に芽球が増加し,4月(移植321日後)に死亡した。至適な移植タイミング,移植へのブリッジング,移植後再燃への治療介入に関するさらなる検討と,症例の蓄積を要する。