臨床血液
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症例報告
“Masked”フィラデルフィア染色体を認めた急性リンパ芽球性白血病
永沼 謙多林 孝之川田 泰輔坂田 憲幸髙橋 康之木村 勇太阿南 朋恵三ツ橋 雄之久保田 寧木崎 昌弘
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2022 年 63 巻 11 号 p. 1525-1529

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抄録

症例は76歳女性,白血球増加と血小板減少を認め入院となった。骨髄検査では,芽球を82.0%認めた。フローサイトメトリーでは,TdT, CD10, CD19は陽性であった。RT-PCR検査でminor BCR-ABL1を検出し,BCR-ABL1融合遺伝子を伴う急性リンパ性白血病(ALL)と診断した。G-band法による染色体分析ではadd(21)(q22. 1)とdel(20)(q11. 2q13.3)の異常を認めるも,フィラデルフィア(Ph)染色体は同定されなかった。FISH検査ではBCR-ABL1融合シグナルを認めた。本症例は,慢性骨髄性白血病の約1%に認められるBCR-ABL1融合遺伝子を有するもG-band法にてPh染色体が検出されない“masked”Ph染色体を有するALLが存在することを示し,その検索にFISH検査が有用であることを示唆する貴重な症例である。

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© 2022 一般社団法人 日本血液学会
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