臨床血液
Online ISSN : 1882-0824
Print ISSN : 0485-1439
ISSN-L : 0485-1439
症例報告
COVID-19を契機に発症した後天性血栓性血小板減少性紫斑病
佐原 直日北原 信介松永 貴志小林 誠一郎藤井 知紀大野 伸広
著者情報
ジャーナル 認証あり

2022 年 63 巻 11 号 p. 1530-1534

詳細
抄録

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)はしばしば微小血管における血栓形成を助長し重要臓器を障害する。今回COVID-19に後天性血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)を合併した症例を報告する。症例は全身性エリテマトーデスの既往のある44歳男性。COVID-19を発症時に溶血性貧血と著明な血小板減少を認めた。ADAMTS13活性が測定感度以下でADAMTS13 inhibitorを検出したため後天性TTPと診断した。失語,見当識障害,せん妄などの動揺性精神神経症状が出現したが血漿交換,prednisolone, rituximabを投与し改善した。COVID-19にTTPを合併した報告は少なく本邦では本症例が初めてとなる。TTPは稀ではあるがCOVID-19の重要な合併症の一つで速やかに診断し早期に治療を開始することが重要と考えられた。

著者関連情報
© 2022 一般社団法人 日本血液学会
前の記事 次の記事
feedback
Top