2022 年 63 巻 12 号 p. 1648-1652
69歳男性。54歳時に健診で末梢血好酸球数990/µlを認め,69歳時に5,380/µlまで増加したため当科を初診した。健診歴から,58歳時に心電図でI度房室ブロックが,65歳時にST-T変化が出現したことが判明した。65歳時の心エコーで異常は認めなかった。骨髄の異常好酸球増多,染色体4q12欠失からFIP1L1::PDGFRA陽性慢性好酸球性白血病と診断した。自覚症状はなかったが,心エコー・造影CTで左室心尖部の壁肥厚,左室内心尖部の血栓を認め,心臓病変を合併していた。Imatinib 100 mg/dayの投与で速やかに末梢血好酸球数は正常化したが,心臓病変は増悪し,心不全症状のため全身状態は悪化した。本症例は診断に至るまでの長期にわたる経時的な変化を捉えた点で貴重と考える。好酸球増多に心電図異常を伴う場合,より早期かつ積極的に心臓造影MRIを行うことを検討すべきである。