2022 年 63 巻 3 号 p. 206-210
58歳男性。2006年頃に出現した全身性紅斑に対し皮膚生検で菌状息肉症(MF)と診断,PUVA療法やステロイド外用治療を受けてきた。2017年9月にびまん性大細胞型B細胞リンパ腫を合併し化学療法を実施。2019年3月よりMF腫瘤期となり大型細胞形質転換も見られためbrentuximab vedotin(BV)を含む化学療法を実施し著効を得た。同種造血幹細胞移植準備中に動作緩慢と返答遅延,認知機能低下が出現。頭部MRI FLAIR画像で両側前頭葉皮質下から深部白質に高信号域を認めた。脳脊髄液一般検査は異常なく,JCウイルス(JCV)PCR定量感度以下だったが,進行性多巣性白質脳症(PML)を強く疑い超高感度JCV検査で陽性となったことからPMLと診断した。化学療法を中止したが,中枢神経症状は悪化し第135病日死亡した。原疾患,BV等の化学療法による免疫不全状態を基に発症したPMLと考えられた。