臨床血液
Online ISSN : 1882-0824
Print ISSN : 0485-1439
ISSN-L : 0485-1439
特集:臨床血液学2022 ―血液疾患診療の注目すべき進歩と将来像(赤血球系疾患)―
赤血球疾患における遺伝性骨髄不全症の鑑別診断
濱 麻人
著者情報
ジャーナル 認証あり

2022 年 63 巻 6 号 p. 590-599

詳細
抄録

赤血球疾患における遺伝性骨髄不全症として,Diamond-Blackfan貧血(DBA),先天性赤血球形成異常性貧血(CDA),および遺伝性鉄芽球性貧血(ISA)が代表的疾患にあげられる。DBAは主にリボゾームの機能不全により発症する。末梢血では網状赤血球が減少し,骨髄では赤血球系細胞のみが著減する。CDAは赤血球の成熟障害と骨髄内溶血による無効造血のため発症する。主にI型からIII型に分けられ,骨髄では多核赤芽球,特にI型では核間架橋がみられる。ISAはヘム合成不全などにより,ミトコンドリアにおける鉄代謝に異常が生じることにより発症する。赤芽球系前駆細胞のミトコンドリアに鉄が沈着するため,環状鉄芽球が出現する。いずれの疾患も確定診断のためには遺伝子解析が必須であるが,末梢血における赤血球形態,および骨髄における赤芽球の形態を評価することにより,診断を絞り込むことが重要である。

著者関連情報
© 2022 一般社団法人 日本血液学会
前の記事 次の記事
feedback
Top