臨床血液
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症例報告
Ciclosporinが奏効した高齢者の慢性特発性好中球減少症
大塩 真希山内 辰也
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2022 年 63 巻 7 号 p. 753-758

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抄録

症例は83歳男性。慢性閉塞性肺疾患,甲状腺機能低下症および骨粗鬆症にて通院中に好中球減少を認めた。骨髄では骨髄系細胞の減少と分化障害を認め,薬剤による無顆粒球症を疑い,全ての内服薬を中止してG-CSFを投与した。一旦,G-CSFに反応したが,再び重度の好中球減少が出現した。脾腫と可溶性IL-2レセプター高値が認めたが,高齢や重度の好中球減少のため脾摘は施行できず,臨床的に脾濾胞辺縁帯リンパ腫に伴う血球減少を疑い,rituximab療法を試みた。しかし,脾腫や高sIL-2R血症の改善をみるも好中球減少は持続した。抗好中球抗体は検出されず,好中球減少の原因として活性化T細胞の関与の可能性を考え,ciclosporinの投与を試みたところ寛解となる。末梢血に顆粒リンパ球を認めたが,T細胞受容体β鎖およびγ鎖の再構成は認めず,活性化T細胞の関与が示唆された慢性特発性好中球減少症として報告する。

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© 2022 一般社団法人 日本血液学会
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