2022 年 63 巻 7 号 p. 805-815
T細胞性急性リンパ性白血病(T-ALL)は小児ALLの約10~15%に認められ,これまで多くの場合B前駆細胞性ALL(BCP-ALL)と同じ枠組みの中で治療され,BCP-ALLより予後不良な一群と位置づけられてきた。しかし近年ではdexamethasone,L-asparaginaseやnelarabine等の治療強化によって,頭蓋照射を縮小しつつ治療成績の向上が認められ,T-ALL独自の治療プロトコールも取り入れられつつある。本邦でも25歳未満の初発T-ALLを対象として,微小残存病変を用いた治療層別化や前述の治療強化を含む治療戦略を用いたJPLSG ALL-T11/JALSG T-ALL-211-Uが2011~2017年まで行われ,良好な治療成績が得られている。近年T-ALLにおいても新しい治療薬の開発が積極的に行われており,新しい知見に基づいた標的治療の開発が今後期待される。