2022 年 63 巻 7 号 p. 799-804
小児フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病(Ph+ALL)の治療では,チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)併用化学療法が標準的な選択肢となり,第1寛解期の造血細胞移植はもはや絶対的な適応ではなくなった。しかし,小児Ph+ALLは依然として難治性白血病であり,治療関連死や化学療法後の再発のため,第1寛解期に造血細胞移植を行わない患者の無病生存率はおおむね60%である。転帰のさらなる改善には,第2世代または第3世代TKIの併用,もしくは毒性の低い免疫療法の併用による標的療法の強化やTKI以外の化学療法軽減による安全性の向上が必要である。臨床試験でこれらの課題に取り組み続けることによって,将来,小児Ph+ALLは難治性白血病から管理しやすい白血病に変わっていくだろう。