臨床血液
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特集:臨床血液学2023 ―病態理解の深化と今後の展望(赤血球系疾患)―
骨髄不全症におけるクローン性造血の臨床的意義と病型境界
鈴木 隆浩
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2023 年 64 巻 6 号 p. 474-481

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抄録

再生不良性貧血(AA)は自己免疫による造血幹細胞の傷害によって成熟血球の産生障害をきたす疾患であるが,一部の症例には遺伝子変異を伴うクローン性造血が潜在する。PIG-A変異やBCOR/BCORL1変異,HLAクラスIアリルの異常を伴う症例は,免疫抑制療法が奏効しやすく予後良好とされているが,DMNT3AASXL1変異などMDS関連変異を持つ症例は,それ以外の症例と比較してMDSへの移行リスクが高い。本稿ではAAに認められるクローン性造血に注目し,その臨床的意義や病型移行について解説するとともに,AAの境界疾患と言われる免疫抑制療法が有効なMDS症例についても考察する。

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© 2023 一般社団法人 日本血液学会
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