臨床血液
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Symposium 4
血管形成と血友病
高倉 伸幸
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2023 年 64 巻 7 号 p. 661-664

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抄録

造血と血管は,体内循環の担い手として,機能的な体内全臓器の臓器連関を司る。血管は血液内環境因子の組織への送達のパイプとしての機能と共に,臓器特異的なサイトカインをアンジオクラインシグナルとして分泌することで,臓器の発生・再生・維持に重要な役割を果たしている。このようにホメオスタシスに関わり,血管を構築する血管主要構成細胞である血管内皮細胞においては,近年,多様性が存在していることが判明し,我々は血管内皮細胞を継続的に供給しうる血管内皮幹細胞分画の細胞が存在することを明らかにしてきた。血管内皮細胞は,臓器ごとにその機能は異なっている。例えば臓器特異的な血管機能として,肝臓の類洞血管は特異的に第VIII凝固因子を産生していることが判明しており,このような臓器特異的な機能がどのようにして臓器毎に誘導されているのか,現在血管形成研究ではその機序の解明が大きな研究の潮流の一つである。

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© 2023 一般社団法人 日本血液学会
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