臨床血液
Online ISSN : 1882-0824
Print ISSN : 0485-1439
ISSN-L : 0485-1439
33 (EL3-5-5)
自己免疫性後天性凝固因子欠乏症の診断と治療
小川 孔幸
著者情報
ジャーナル 認証あり

2023 年 64 巻 9 号 p. 1116-1123

詳細
抄録

自己免疫性後天性凝固因子欠乏症(autoimmune coagulation factor deficiency, AiCFD)は,単一の凝固因子を標的とする免疫グロブリン(自己抗体)により発症する後天性の出血性病態である。これら自己抗体の多くは凝固因子の機能を阻害する中和抗体(インヒビター)であるが,クリアランスを亢進させる非中和型の自己抗体も混在している。AiCFDはほとんど全ての凝固因子およびvon Willebrand因子(VWF)において報告されており,その代表疾患が凝固第VIII因子(FVIII)に対する自己抗体により発症する後天性血友病A(AiF8D)である。AiCFDの治療は出血症状に応じた止血治療と自己抗体根絶のための免疫抑制療法である。止血治療は疾患により異なり凝固因子補充療法,輸血療法やバイパス止血製剤が実施される。AiCFDは希少疾病であるが,一般医も遭遇する可能性があるため疾患啓発が必要である。

著者関連情報
© 2023 一般社団法人 日本血液学会
前の記事 次の記事
feedback
Top