臨床血液
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10 (EL1-4-2)
輸血合併症・副反応の理解と対応
藤原 実名美
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2023 年 64 巻 9 号 p. 925-931

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抄録

輸血療法は現代医療を支える重要な支持療法であり,頻用されている。溶血性副反応防止のためには交差適合試験が実施されるが,血漿に含まれる成分にも個体差があり,非溶血性副反応は今のところ予測が困難である。頻度の多い蕁麻疹や発熱反応以外は,実際経験することが稀で十分認知されておらず,特に輸血関連循環過負荷に関してはさらなる周知が必要と考えられている。輸血後GVHDは20年以上みられないが,未照射血納入施設や,離島でのやむを得ない院内採血等では,そのリスクを理解し確実に放射線照射を実施することも重要である。かつて大きな問題であった輸血後肝炎は,献血者個別の核酸増幅検査導入により激減し,輸血後感染症検査のあり方が変わった。現在日本赤十字社では輸血による細菌感染の低減に向けた努力が続けられている。輸血の副反応を理解し,細やかな患者観察を行うことで,早期発見,早期対応が可能になる。

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© 2023 一般社団法人 日本血液学会
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