2024 年 65 巻 4 号 p. 209-221
DNA脱メチル化薬とされているdecitabine(DAC)の作用機序・耐性機構の本質を明らかにするためにMDS/AML細胞株を用いて,全ゲノムCRISPR-dCas9 activationスクリーニングを行った。その結果,DACの治療抵抗性には有糸分裂制御が関与すること,DACは複数の骨髄系腫瘍細胞株に対して臨床的に達成可能な低濃度で高度な有糸分裂異常を誘導することが明らかになった。また,このようなDACによる有糸分裂進行の障害は,DNMT1の低下やDNA脱メチル化ではなく,DNMT1-DNA架橋によって引き起こされることがわかった。本研究により,DACの骨髄系腫瘍に対する作用機序を考えるうえで,DNA脱メチル化作用のみならず,DNMT1-DNA架橋産物による直接的な影響を考慮する重要性が示唆される。さらに,DACとATR/CHK1阻害薬の併用が多くの骨髄系腫瘍細胞株で有効であること,一部の白血病細胞株においてはHMG-CoA還元酵素阻害薬と相乗的な細胞増殖抑制効果を確認した。これらの併用療法は,DACの治療抵抗性を改善する一助となることが期待される。