2024 年 65 巻 4 号 p. 222-230
鉄芽球性貧血はミトコンドリアへの異常な鉄沈着により生じる環状鉄芽球(ring sideroblast, RS)を伴う貧血の総称である。後天性鉄芽球性貧血である骨髄異形成症候群におけるRS増加はSF3B1変異と強く関連するが,変異型SF3B1によるRS形成機序は不明である。筆者らは変異型SF3B1を導入した赤芽球系前駆細胞株HUDEP-2細胞を用いてin vitroでのRS形成を再現し,鉄硫黄クラスター輸送体ABCB7においてスプライシング異常を介した発現抑制が生じていることを示した。さらにABCB7ノックダウンHUDEP-2細胞においてヘム合成の律速酵素ALAS2の翻訳が抑制されていることを示した。ABCB7発現抑制により惹起された細胞内の鉄硫黄クラスター分布異常が鉄代謝の恒常性を乱すことでRS形成に至ると考えた。本稿では鉄芽球性貧血やスプライシング異常について概説し,筆者らの研究成果を紹介する。