2024 年 65 巻 5 号 p. 321-329
末梢血幹細胞採取後の有害事象フォローアップのために電話を用いてドナーの健康調査を行う場合がある。頻繁な連絡を要する際に電話は不向きであり,新たな調査手法として,ドナーが医療者に電子的患者報告型アウトカム(ePRO)を報告するためのWebアプリケーションを開発した。血縁あるいは非血縁の健常ドナーを対象として,電話と比べたアプリの有用性を評価する前向き観察研究を行った。アプリ群ではドナーが1日1回症状をePROとして入力し,電話群では定められた日に医療者が架電して症状を聞き取った。観察期間は,入院中を除く,GCSF製剤の初回投与時点から採取後のフォローアップ外来初回受診時点までの期間とした。各群8人ずつ評価し,年齢中央値は32歳(19~58歳),女性が9例(56.3%)であった。血縁者ドナーは電話群の8例全員,アプリ群の4例であった。医療者が健康情報を得た日数はアプリ群で有意に多く(観察期間に占める割合の平均値;27.0% vs 53.5%,p<0.05),医療者が健康調査に要した総時間や1回の健康調査に要した時間の平均値はアプリ群で有意に小さかった。ドナーの負担感や幹細胞提供の満足感に差はなかった。アプリは電話と比べて,ドナーの負担を増やさず医療者の負担を軽減し,より多くの健康情報を得ることができると示唆された。