抄録
本研究は,野外観察注1)の事前学習において,身体化デザインを取り入れることによる学習者の天体の位置の把握に与える影響を検証すること目的とする。小学校4年生の2クラスの事前学習において,1クラスは単純に天体シミュレーションを活用した疑似観察を行い,もう1クラスは天体シミュレーションに身体化デザインを取
り入れた疑似観察を行った。その後,野外観察を実施し,意識アンケートとインタビュー調査を行った。本研究の結果,身体化デザインを取り入れた疑似観察を行ったクラスは,単純に疑似観察を行ったクラスより正確に天体の位置を把握している観察記録が多かった。そのため,事前学習で疑似観察に身体化デザインを取り入れることは,天体の位置の把握を促進させることが明らかになった。また,意識アンケートの結果から身体化デザインを事前学習に取り入れることの有用感,野外観察への意識に関する認識が高まったことが明らかになった。さらに,事後インタビューの分析から,天体の方位,天体の高度,方位と高度につながる天体の位置の認識を促進させることが示唆された。