抄録
本研究は、観光地として長い歴史を持つ山梨県南都留郡山中湖村を事例に、観光に森林資源が十分に活用されているかを検討した。まず、先行研究および統計資料から同村における観光の展開過程を整理した。外部資本による観光開発として典型的であった別荘開発は、開発初期から現在に至るまで継続的な発展を遂げている。地元資本は高度経済成長期になってから本格的に観光事業に参入し、典型的な事業形態として展開した保養所とテニス民宿は近年大きく後退している。外部資本による開発は森林空間(景観)を観光資源として活用するものとして一定の評価はできるが、全般的に同村の観光において森林資源の活用は不十分であり、地元資本においても森林資源は活用されなかった。その要因として、観光資源として森林をみる者と、森林に権能を持つ者との交流が乏しかったことが考えられた。