土木学会論文集G(環境)
Online ISSN : 2185-6648
ISSN-L : 2185-6648
環境工学研究論文集 第59巻
水と衛生への意識・行動変容に寄与する施策の質的比較分析
岡 俊輔氏家 慶介風間 しのぶ小熊 久美子滝沢 智
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2022 年 78 巻 7 号 p. III_263-III_274

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抄録

 途上国を中心に水を起因とする下痢症は未だ深刻な課題であり,公衆衛生的介入を経ても,水と衛生に関する意識や行動の変容には繋がらず,持続的な状況改善が実現できていない.そのため,地域の疫学的情報や社会的背景を踏まえた介入施策が求められているが,過去の施策による人々の意識・行動の変化を分析した研究は少ない.本研究では,これまで日本が実施したODA事業23件の施策とその評価をもとに,住民の水と衛生に関する意識と行動の変容に寄与した施策の質的比較分析をおこなった.その結果,住民の施策への参加や教育の実施が水と衛生の両方の意識と行動変容に有効である仮説が得られた.本研究により,水と衛生に関する国際協力の発展に向けた仮説が複数立てられた一方で,報告書に記載された情報のみで分析を行うことへの課題も明らかになった.

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© 2022 公益社団法人 土木学会
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