2022 年 28 巻 p. 115-120
本研究では低水路内の砂州上に繁茂する樹木群が大規模に流失した2005年,2006年音更川洪水に着目し,水理観測データや航空写真,2次元河床変動計算による再現結果を用いて,交互砂州上に存在する樹木群の流失過程を把握すると共に,交互砂州上の樹木群流失に関する数値実験を行い,流失特性や砂州の移動や形状に与える影響を検証した.その結果,低水路満水程度の中規模洪水時における交互砂州上の樹木群流失は,上流側の砂州の下流への移動に伴い発生し,流量低下時や砂州への冠水時間が長いと促進することを確認した.また,数値実験により樹木群が流失しにくい条件下では下流側の砂州が伸長しやすい傾向を示し,出水時に樹木群が流失すると流路の平面形状や蛇行振幅等が大きく変化する可能性を見出した.