2022 年 28 巻 p. 421-426
安定河道断面の概念をベースに,無次元指標Kに着目し,低水護岸の被災リスク評価手法の検討を行った.先行研究に比べ,被害関数の係数同定に用いるデータ数を増やし,被害無しのデータの割合も増やした.各断面での無次元指標Kと標準K値との差について先行研究では,±側両方の差の絶対値をとって統一的に扱っていたが,本検討では標準K値よりもK値が大きい方が,被害リスクが大きくなるという傾向が確認されたため,被害関数の修正を行った.K値と標準K値との差の他に,K値の縦断方向の変化量∆Kxと時間変化量∆Ktと被害の有無について確認したところ,∆KxについてはK値の標準値からのずれと同程度に被害リスクとの関連がみられ,∆Ktについてはわずかに被害リスクとの関連がみられた.K値の標準値からのずれ,∆Kx,∆Ktという3つの指標を組み合わせた統合化リスク指標を用いると,個別指標を用いるよりも,より局所的な被害リスクの大小を判別できることが示唆された.