2022 年 28 巻 p. 427-432
2020年8月に英国のEdinburghとGlasgowを結ぶ鉄道に起きた,運河の破堤氾濫に起因した洪水被害を分析した.まず運河と鉄道の建設経緯を紹介し,それが運河と鉄道の配置に関連し,その配置が鉄道被害の発生の遠因になっていることを考察した.運河の破堤の経過について詳細な記録は得られなかったが,いくつかの仮定のもとに算定した破堤氾濫流量ハイドログラフは,浸水域の実績や氾濫の継続時間を適切に再現できることを確認した.細かな地形起伏と,その地形に運河や鉄道を建設するための盛土・切土が,破堤位置や洪水流の経路に大きな影響を与えていることが確認された.以上の議論をふまえ,対応策を述べた.