2022 年 28 巻 p. 457-462
流域治水では,豪雨が,支川群,本川等を含む流域に,いつの時点に,どこに,どれくらいの量がどのような状態で存在しているか,すなわち,流域における降雨流出量の時・空間的な存在分布(水収支分布)を流域における洪水流水面形の観測と解析から明らかにすることにより,全流域レベル,各支川流域レベル,氾濫域レベルで貯留に適した空間を見出し, どのような治水対策が有効かを検討することになる.考えられるメニューは,流域ごとに異なり,また個々のメニューの実現には,技術的,社会的,経済的にみて減災対策として実効性があることが必要である.本文では,本川,支川流域での施策を一体的に評価可能な水面形の観測と解析に基づく流域水収支図の作成とその活用が流域治水の基本であることを強調している.近年の豪雨災害を例に流域の洪水流の形成過程,流域水収支および流出係数の変化等による流域の見える化が,流域を構成する各支川群の流域治水,それらを総合化した全流域の流域治水の検討に有効な技術となることを示し,今後の流域治水の方向性を技術的に論じている.