2023 年 29 巻 p. 263-268
我が国ではこれまで,渓流再生工法として Step-Pool の石組み形状の形態を模倣し Step-Pool 形状を再生 する手法と Keystone を存置して流体力により Step-Pool を再生する手法の主に 2 手法が試みられている. 本研究では災害復旧において後者の理論に基づき Keystone(径 2-3m の巨石)の存置が行われた山附川に着 目し,河道地形変形と生物量が経年的にどのように変化したのかを明らかにするために、2009 年の竣工後, 3 年,10 年経過後の河道地形および生物のモニタリングを実施した.その結果,巨石をきっかけとして, 流送された礫を捕捉し,Step-Pool が発達することを確認した.魚類の個体数は年々増加しているが,近傍 の自然河川と同程度には回復していなかった.Keystone の存置による Step-Pool 再生技術は Step-Pool 構造 を十分に発達させており,Step-Pool 再生技術として有効であることが明らかとなった.