2023 年 29 巻 p. 317-322
河口砂州は波浪の影響が卓越する場所で形成され,河道内への波浪侵入防止,塩水の遡上を抑制するとともに河道内及び前浜に人工施設では代替できない環境を作り出す.一方、河口砂州は治水上流下能力のネックとなる懸念があり,そのフラッシュのタイミングと上流河道の水位上昇への影響を把握し,必要な場合には対策が求められる.本報告は,河口砂州に関する知見を既往研究から概観するとともに,河口砂州の河道内への後退やフラッシュ後の再生が遅くなる要因を実際の地形変化事例から考察した.河口砂州のフラッシュ後の速やかな再生が起こるには隣接砂礫浜からの沿岸漂砂供給が重要であり,このような平衡状態をつくる保全・再生に必要な検討事項の整理を試みた.