2024 年 30 巻 p. 239-244
洪水規模の拡大によって計画高水位を超過した越水による堤防決壊が毎年のように発生し,近年では越水に対して粘り強さを発揮できる堤防強化工法の検討が進んでいる.効果的な堤防強化工法の立案のためには,堤体土質が浸食プロセスに及ぼす影響等の不明な点を明らかにする必要がある.本研究では,粒度特性を変化させた堤体材料を用いて模型堤防を作製し,縮尺模型に任意の重力加速度を載荷することで実地盤の応力状態を再現できる遠心載荷実験中に越水実験を行った.その結果,越水時の堤体浸食速度は無次元限界掃流力と見かけの粘着力と関連していることがわかった.このことから越水に対する土堤の粘り強さの評価には,従来の水理学的パラメータに加えて,地盤工学的なパラメータの勘案が有用である.