河川技術論文集
Online ISSN : 2436-6714
大量アンサンブル気候データを活用した基準水位に基づくリードタイムの評価手法
鈴木 章弘植村 郁彦山田 朋人
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2024 年 30 巻 p. 423-428

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抄録

雨量や河川流量等の過去数十年の観測のみに基づく場合,これまでは発生していないが今後起こりうる規模の大雨や洪水が見逃される可能性があり,また,河川水位観測所の基準水位超過を避難情報の発令基準とした際に確保しうるリードタイムの発生頻度は知られていない.本研究では,高解像度の大量アンサンブル気候データの過去実験3000年,4度上昇実験5400年の北海道十勝川流域における年最大規模の降雨に対する河川水位観測所の基準水位および計画高水位の超過頻度を算出した.また,計画高水位超過を氾濫の危険性が高まる指標として,基準水位超過から計画高水位超過までの到達時間を算出した.基準水位超過から計画高水位超過の到達時間の発生頻度の分布は地点毎に異なることが確認され,過去実験に比べて4度上昇実験では全体的に到達時間が早まる一方で,より遅く到達する事例も確認された.得られた到達時間の発生頻度に基づき,確保しうるリードタイムの確率的な特徴を踏まえた議論が可能となった.

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© 2024 土木学会
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