2024 年 30 巻 p. 525-530
本研究では,田んぼダムによる流出抑制機構を木村の貯留関数法に組み込み,田んぼダムの効果を試算する手法を提案した.田んぼダムによる流出抑制効果は流出孔サイズと水田面積に応じて変化するが,水田の詳細情報(一区画の面積や区画総数)を反映して計算を行う必要があることから,農林水産省が近年公開している「農地の区画情報(筆ポリゴン)」を活用する手法を検討した.構築したモデルで信濃川中流域の茶郷川を対象に解析を実施した結果,主要5洪水において3.4%から6.6%のピーク流出抑制効果,信濃川合流部で8cmから20cmの水位低減効果が確認でき,洪水ケースによっては既設放水路一本分に近い流出抑制効果が得られることが明らかになった.また,流出孔サイズを調整することにより,田んぼダムによる流出抑制効果が1.8倍から3.0倍程度向上する可能性があることを確認した.