2024 年 30 巻 p. 531-536
降雨流出から洪水氾濫までを一体的に解析できるRRIモデル1)2)3)は,分布型モデルであることからパラメータが多く,その同定方法が課題となっている.RRIモデルは,近年,実務において洪水予測等に適用されるようになっており,リアルタイム予測に活用する観点からは一定の同定方法が確立されている4)ものの,流域治水対策の検討等に適用するためにはパラメータの持つ物理的意味合いを反映したものである必要がある.本稿は,RRIモデルを流域治水対策の検討に適用することを前提としたパラメータ設定手法を検討したものである.パラメータの同定には,大域的探索手法であるSCE-UA法を適用し,水害リスクラインの検討において適用されている探索範囲で同定する方法と河道形状係数に実測データから作成した関係式を設定した上で物理性を考慮した探索範囲で同定する方法について再現性を比較・検討した.その結果,後者においても十分な精度が確保することができ,今後,流域治水対策の効果を相対的に表現する観点から有用なモデルパラメータの同定手法を得ることができた.