2025 年 31 巻 p. 391-396
令和5年7月14日から16日にかけての豪雨により,秋田県五城目町を流れる馬場目川が氾濫した.馬場目川の氾濫進展状況を数値解析(AFREL-SR)し,施設周辺の浸水過程を再現した.また,馬場目川と富津内川の合流点に位置する高齢者施設Aを対象に,被害状況,避難行動,法人間の連携体制などについてインタビュー調査を行った.避難情報,浸水過程,施設職員の証言内容を照合することで避難行動を検証した.高齢者施設Aは床上浸水70cmの被害を受けたものの,的確な判断により浸水が始まる前に入所者全員を安全な場所へ避難させることができた.さらに,法人の枠組みを超えた協力により,入所者の搬送や一時受け入れを実現した.本事例は,避難確保計画およびBCPに基づいた日頃の準備や避難訓練の成果を示すと共に,経営基盤の強化を基軸にした法人間連携が災害時にも有効に機能した成功例である.