2025 年 31 巻 p. 385-390
洪水時における地域の避難開始人数累積値の時間変化𝑥(𝑡)を運動と捉えた武内・諸岡・山田9)の式を用い,𝑥(𝑡)の加速要因となる地域の内在力を規定する地域特性係数pに含まれる係数p′(p = p’/2x0,x0:地域の世帯・人口規模)に着目し,事例蓄積によりその地域性に関する分析・考察を行ったところ,次の知見が得られた.1)地域の世帯数密度の増大に伴い,p’が増加する傾向がある.2)この要因として,世帯数密度が大きいほど,ある住民の避難開始行動が作用する周囲の人数が増加するため,結果として他の住民の行動につられ自らの避難開始行動を起こす人数が増加することが考えられる.3)このことから,世帯がある程度密集した状況の創出により,地域全体として避難に要する時間を短縮し得る.