2025 年 31 巻 p. K_1-K_17
気候変動による想定を大きく超える自然外力は,社会,経済に大きな変化をもたらし,これまでの自然,社会,経済条件下での河川改修の進め方やスピードでは,洪水災害への対応が遅れ,災害の増大を引き起こす恐れが非常に大きい.流域治水への転換を図り,国土強靭化が叫ばれている今こそ,今後の流域・河川のあり方やその技術について十分考え変革し,社会の要請にこたえる絶好のタイミングである.
本文では,我が国で行われてきた河川改修や,河川技術の蓄積がこれまでの川づくりにどのように活かされて来たか,河川改修を加速し治水の安全性の確保や治水と環境の調和の実現に向けて流域治水をどのように進めて行くべきか,特に,超過洪水に対する河道計画をどのように実行するかは流域治水の成否に関わる大きな課題である.それには河川管理施設等構造令の見直しや,河川の土砂水理学の再構築等が必要である.半世紀を超える著者の河川技術研究,河川及び河川技術者等との対話を通して,これからの河川技術・研究はどうあって欲しいかについて論じている.