2025 年 31 巻 p. 1-6
河川植生は,生物の生息・生育・繁殖環境及び多様な河川景観の基本となる環境要素であり,河川植生の保全・創出においては,成立要因とその変遷を踏まえる必要があるが,全国の視点で植生タイプを類型化することでその成立要因と変遷を示した研究はこれまでにない.本研究では,河川植生の保全・創出への活用を目的として,全国河川のセグメント区分を反映した約20年間の植生図データを用いて,TWINSPAN分析による類型化を行い,「樹林地景観類型」,「草地景観類型」の河川環境管理に資する類型化手法を提案した.「草地景観類型」では,河川ごとに本来成立しうる植生タイプを示すため在来種優占群落による類型とした.得られた類型は気候的要因とセグメント区分により代表される地形的要因により成立することを確認した.さらに,草地景観類型の変遷パターンを「継続」,「消長」に分類することで地域ごとの特性を踏まえた河川環境の状態把握が可能となった.この結果をもとに,「継続」を保全の目安とし,「消長」を保全と創出の目安とする,河川植生の保全・創出戦略の検討方法を提案した.