防災教育学研究
Online ISSN : 2436-6315
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兵庫県下におけるハザードマップにおける 住民の利用状況と課題に関する調査研究
田中 綾子前林 明日香柴田 真裕
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2022 年 2 巻 2 号 p. 1-10

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抄録

本研究は、アンケート調査により、兵庫県におけるハザードマップと防災教育との関連、活用 の状況、課題について分析する。そして、これからのハザードマップの利用の質と量の向上につ いて考察することを目的とする。結果は次のとおりである。 まず、防災教育を受けた人ほど、ハザードマップを使っている傾向が見られる。つぎに、ハザー ドマップを利用している人のほとんどが災害対応のためにハザードマップが必要であると捉えて おり、その傾向は被災経験者の方が被災未経験者より強い。そして、ハザードマップの利用場面 は非常時と平常時があるが、平常時に利用されている場合が多い。また、利用されている情報の 内容は、本人や家族に対する災害リスクの確認と身の安全の確認に関するものが多くを占めてい る。 さらに、現在使用しているハザードマップの問題点については、「全体としてわかりにくい」 が最も多く、この全体のわかりにくさは「色がわかりにくい」、「情報量が多すぎる」ことから生 じていると考えられる。これらの問題を解決するには、兵庫県のCGハザードマップなどのデジ タルハザードマップの普及が求められる。 ハザードマップ利用の普及とわかりやすさの向上をめざすためには、紙とデジタルとの使い分 けが有効である。具体的には紙媒体は非常時、デジタルは平常時の活用を想定する。ただし、ス マホの機能などを駆使すれば非常時にもデジタル化したハザードマップは有効となるであろう。 すでに、兵庫県では全ての市町でハザードマップが整備されており、「兵庫県CG ハザードマッ プ」(デジタル)が公開されている。これらの利用を推進すれば、兵庫県の地域防災力の強化に つながる。

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