防災教育学研究
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豪雨災害時の「避難意図」を高める 小学校社会科授業の開発と効果の検証
―博物館を活用して―
望月 大村越 真
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2022 年 2 巻 2 号 p. 11-22

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抄録

本稿では「リスク認知」と「自己効力感」を高め,豪雨災害時の避難行動意図を促進するため, 山梨県立博物館の水害についての展示資料を活用した小学校社会科の防災授業の開発を目的とす る。本稿は,社会科第4 学年の単元「自然災害から人々を守る活動」の1時間として実施した。 授業の目的を次のように設定した。(1)博物館の展示や所蔵資料を使って,学区内では,どんな 災害がおこりやすいか学び,「リスク認知」を高める(2)警戒レベルやハザードマップなどの「災 害情報」の活用方法を学び,実際に居住する地域で豪雨災害発生の危険性が高まった時に「いつ」 「どんな行動をとるか」という避難プランを考えることで,「自己効力感」を高めることをめざした。 授業を実施した3 校で,授業前後に行なった調査票により効果を検証した。その結果,授業には「リ スク認知」を高める効果が確認された。また「リスク認知」の高まりが「避難行動意図」を促進 する効果が認められた。「自己効力感」については,授業前から高く有意な変化が見られなかった。 「自己効力感」の「避難行動意図」への影響も見られなかった。「自己効力感」の「避難行動意図」 への作用を精緻化し,災害情報の活用を加味した「自己効力感」の測定方法や, 低い「自己効力感」 を持つ児童に対して低かった授業効果を高めるための授業内容の再検討が課題である。

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