2020 年 15 巻 1-2 号 p. 92-104
大人数の授業では,レベルや目標がことなる学習者一人ひとりに合わせて発音指導することは難しい。そこで,大山(2019) は授業内における発音の協働的学習法として「グループ形式でペアワーク」を提案した。この方法は,リフレクションを促すために活動に参加しなくてもよい機会をあえて組み込んだものである。分析の結果,個別のリフレクションを促しうることが分かったが,一方で,個別のリフレクションがグループ全体に共有されないという問題点も明らかになった。そこで,本研究は「グループ形式でペアワーク」の後に,発音についての疑問を直接話し合う機会を設けることを提案する。フランス語初級クラスでの実践を録画記録し,やりとりの分析をおこなった結果,学習者たちは課題をすすめるなかで抱いた疑問をその機会を利用して共有し,リフレクションを促し合っていた。この結果から,本研究は,直接的に疑問を話し合う機会を設けることが個別のリフレクションの共有を促す有効な手段であると主張する。