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論文
米国におけるバイタル記録保護の歴史的展開:NAREMCOを中心に
坂口 貴弘
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2018 年 75 巻 p. 32-47

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抄録

 米国における記録管理制度の確立とその全国的な展開の過程で、全米記録管理評議会(National Records Management Council(NAREMCO))の果たした役割の大きさを見過ごすことはできない。本稿では1950年代におけるNAREMCOの活動について、バイタル記録プログラムに焦点を当てつつ考察する。その際、米国国立公文書館や議会図書館の所蔵資料に基づき、NAREMCOが記録管理の意義と役割をいかに説いていたかにつき、その時代背景を踏まえて検討する。

 NAREMCOの活動の意義は、記録管理における産学官連携を推進したこと、時代のニーズに速やかに対応したこと、記録管理を担う人材を養成したことにあった。バイタル記録プログラムはもともと防災や戦時中の危機管理の分野で提唱されていたが、冷戦下の民間防衛の機運の高まりを受けて、記録管理の構成要素に組み込まれていく。バイタル記録プログラムに代表されるように、NAREMCOは記録管理をめぐる新たな発想や先進事例を組み合わせ、普及させる上で重要な役割を果たした。

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© 2018 記録管理学会
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