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特別寄稿
江戸期大垣藩戸田家統治1635~1869における証拠書類群作成・保管の始まりと終り
―記録管理学・アーカイヴズ学アプローチ序説
安澤 秀一
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2020 年 78 巻 p. 3-37

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抄録

 本稿の目的は、文書布達および保存にかかわる官僚制といえる「文書行政」体系が江戸期大名(藩)統治に確立していたことの提示にある。そして、いかに藩の権威が文書の真正性と信憑性を保障していたか、そのあり様を検証する。

 その事例を大垣藩(現・岐阜県大垣地方)にもとめ、寛永12年(1635)から慶応3年(1869)の江戸期末まで同藩を統治した戸田家の記録を調べることで、行政行為の証拠のために記録を作成し保存する規則たる根本法のすがたを明らかにする。その法の理解により、いかなる真正性と信憑性が達成されたか見定めることができよう。

 本稿においては、大垣藩にみるような「文書行政」体系が今日の現代的記録・アーカイヴズ管理へ示唆するところがあることをも意図している。江戸期の記録書類作成の原点、証拠志向体系から学べる意義は大きい。

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© 2020 記録管理学会
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