2017 年 5 巻 1 号 p. 3-11
本研究の目的は、福島第一原子力発電所事故後、避難生活中の母親の育児ストレスや孤立感、QOL、放射線の健康影響に対する不安について明らかにすることである。避難生活をしながら子育て中の母親(A群)と、A群以外の子育て中の母親(B群)を対象とし、質問紙調査を実施した。子育て中の悩みの有無や子育ての相談に対する夫の対応、育児ストレスは2群間に有意差はなかった。しかし、A群は夫以外の育児相談相手はB群に比して少なく、孤立感を感じている割合が多かった。さらに、QOLの全体的健康感は低値であった。事故後4年が経過しても、A群の母親は、妊娠・水・離乳食・人間関係の放射線による影響の不安が変わらないことが明らかになった。以上のことから、今後も母親同士の子育てネットワーク、継続的な放射線の知識の提供や健康影響を含む相談会などの継続が必要と考えられる。