論文ID: RJ-10013
被爆二世は罹患をきっかけに放射線被ばくの遺伝性影響に対する不安を生じることが報告されている。このことから、被爆二世であることが自身の健康の捉え方に影響を与えている可能性がある。本研究では長崎県の被爆二世と被爆二世ではない者の健康に関する認識の比較、および、被爆二世であることによる健康不安に関連する因子の検討を行い、被爆二世の健康に関する考えを明らかにした。被爆二世と被爆二世ではない者の間に健康への認識に統計学的な有意差はなく、【被爆地特有の原爆に由来する放射線の負のイメージ】や【被爆二世であることを特別に意識する機会が少ない環境】が影響していると考えられた。一方で被爆二世であることによる健康不安がある者はない者よりも有意に主観的健康感が低かった。また、健康不安に関する自由記述の検討から、被爆二世であることによる健康不安の出現に、「親の発癌」と「親の癌による死亡」が関連していることが明らかになった。