根の皮層に形成される通気組織は,冠水土壌において大気と触れる地上部と細胞分裂が活発な根端部をつなぐ気体の通り道となるため,植物の耐湿性に寄与する重要な形質である.一方,皮層で顕著にみられる微小な細胞間隙も同様の役割を担うことが知られている.本連載第1回目および第2回目で紹介した空隙率の測定方法は,通気組織と細胞間隙を総合して評価する手法である.一方,切片法は根の横断切片の画像を解析するため,通気組織と細胞間隙を個別に評価できる.本稿では,論文では具体的に示されることがない切片画像の解析方法について詳しく解説する.