抄録
収量性の異なるサツマイモ2品種を用い, 根系の形成およびその分布特性を比較するとともに収量性との関係を検討した. 両品種とも5月上旬に定植した後、つる苗からの根の生育はおう盛で, 8月下旬までに深さ1m以上, 水平方向には株を中心に両側70cm以上に広がる大きな根域を形成した. 塊根, 太根は表層に多く分布したが, 細根は1m以上の深さに達し, 深層部の根量も多かった. 多収性の品種 (コガネセンガン) では10月下旬の収穫期までに太根, 細根の量は減少し, 細根の褐変・腐敗がかなり認められた. しかし, 茎葉繁茂型の品種 (ツルセンガン) では, 収穫期まで太根, 細根とも根量は増加を続けた. サツマイモでは生育環境や体内の生理条件に対応した根系形成, 特に, 細根の量と機能およびそれらの変化が, 生育, 収量性と密接に関係すると考えられた.