根の研究
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ダイズ茎基部からの出液を用いた過湿による根系機能低下の評価
馬 啓林山口 武視中田 昇中野 貴章田中 朋之中野 淳一
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2005 年 14 巻 1 号 p. 3-8

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抄録

ダイズの湿害には根の活力低下が関与するため, 根の活力把握が容易である茎基部からの出液を用いて過湿による根系機能低下の評価が可能かどうかを検討した. 品種エンレイを用い, 2002年と2003年にポットおよび圃場栽培し, 播種後約1ヶ月目に12~18日の間で過湿処理を施した. 過湿区の乾物重は対照区と有意な差はなかったが, 葉身窒素含有率では過湿処理による明らかな低下が認められた. 個体当たり出液速度は葉身窒素含有率よりも早く過湿処理に反応し, 処理後6日目より低下が認められた. さらに出液中全窒素量では処理後2日目より低下が認められ, 処理終了時まで常に過湿区が低く推移した. 根粒由来の窒素吸収は過湿条件下では著しく抑制されたが, 根粒由来窒素の多少に関わらず出液中全窒素量で養分吸収能の把握は可能であり, 個体当たり出液速度および出液中全窒素量は過湿による根系機能の低下程度を評価する有用な指標となりうることが示唆された.

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