2009 年 31 巻 1 号 p. 32-38
本研究では,シルバー人材センターの会員が従事している就業の量と内容について性別年齢階級別に比較し,70歳以上の高齢者の就業を促進する方途を探った.A市シルバー人材センターの会員データ2,987人を分析対象とし,性別年齢階級別に就業の有無および年間配分金額(就業報酬)の多寡,就業内容を分析した.その結果,男性では75歳以上で配分金額が少なく,女性では年齢階級による配分金額に差はみられなかった.また,就業内容について従事割合を比較した結果,男女とも年齢階級間で異なっていた.74歳以下の男性では施設管理が首位であり,75歳以上の男性では屋外作業が首位であった.女性はどの年齢階級でも屋内作業が首位であったが,年齢階級が高いほど屋外作業への従事割合が高かった.これらの男女の差は,就業開始段階における就業の量の違い,就業内容における強度の違い,就業内容が集団で作業可能かどうかにより生じていることが示唆された.