老年社会科学
Online ISSN : 2435-1717
Print ISSN : 0388-2446
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実践・事例報告
  • 髙野 由紀子, 大園 康文, 小野 充一
    2023 年 45 巻 1 号 p. 7-16
    発行日: 2023/04/20
    公開日: 2024/04/20
    ジャーナル フリー

     定年退職を経験した男性に,①定年退職以前から行っていたことはどのようなことか,②定年退職後をどのように過ごしたいと考えていたか,③定年退職に伴う喪失体験を克服する過程で周囲の人間がどのように関係したか克服に至る契機となったことはどのようなことか,について検討を加えることを目的とした.研究対象者を定年退職後5年以上経過し,現在は社会活動を行っている男性7人とし,半構造化面接による個別インタビュー調査を行った.収集したデータはKJ法を用いて分析した結果25のサブカテゴリー,6のカテゴリーを生成した.相互の関係を検討しA型図解化,B型文章化を行った.その結果,定年退職により失った肩書や役割を伴う職業人生に執着し,移行後の生活の場である地域社会や家庭での役割を受け入れられず周囲との関係を構築できずにいることと,喪失体験の克服には身近な人々の存在が関連していることが明らかになった.さらに,定年退職後の姿は周囲と折り合いをつけたものであり,定年退職の経験は新たな喪失の準備として認識している状況が認められた.

資料論文
  • 家根 明子, 小野塚 元子, 木谷 尚美
    2023 年 45 巻 1 号 p. 17-27
    発行日: 2023/04/20
    公開日: 2024/04/20
    ジャーナル フリー

     北信越地域の地域包括支援センター(センター)と訪問看護ステーション(ST)の看護職に質問紙調査を実施し,初期認知症の支援での困難経験を明らかにした.困難経験として,センター看護職では,【サービス導入など継続的な支援が難しい】【社会全体で支える仕組み,風土が不十分ななかでの支援】【認知症専門医療機関につながらない】【専門職としての力量が不足】の4コアカテゴリー,ST看護職では【初期認知症者と家族の状況に適した看護が効果的に提供できない】【訪問看護受入れへの抵抗】【本人と家族・住民の思いの調整に苦慮する】【初期ゆえに本人との関係づくりに苦心】【社会資源や制度の不十分さ】【認知症専門医療機関につながらない】【専門職としての力量が不足】の7コアカテゴリーが抽出された.センターとSTの看護職のもつ強みを生かした実践が,地域での初期認知症の支援に対する看護実践の向上につながると考える.

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