本研究の目的は,高齢者介護施設においてケアがどのように実践されて,ケアワーカーが臨床能力をどのように獲得していくかを,実践現場の5人の熟練ケアワーカーの語りに基づいて明らかにすることである.データ収集においては,模擬介護場面を設定しその実施方法について半構成的インタビューを実施した.その結果,ケアワーク実践においては,支援のプロセス全体にわたり実践の根拠となる知識や価値を確認しつつ,要介護者の個別的ニーズや支援の状況に応じた介入方法が繰り返し検討され,実施されていた.この実践上の手続きを踏んで展開することは,実践科学の方法として位置づけられる.また職場内のコミュニケーションは,臨床能力としての知識や技術の継承ならびにケアワーカーとしての援助観の錬磨において重要な促進要因となる.