2024 年 46 巻 3 号 p. 235-244
本研究の目的は,介護職員の“個人の資源”としての情報処理スタイルの機能を検証することである.26施設から得られた662人のデータを解析した.構造方程式モデリングの結果,合理性処理は高いワーク・エンゲイジメントと低い情緒的消耗感に関連していた.一方,直観性処理は高いワーク・エンゲイジメントと高い脱人格化にわずかに関連していた.脱人格化の予防因子には高いワーク・エンゲイジメントと低い情緒的消耗感があることが示唆された.さらに,階層的重回帰分析により,直観性処理は行動抑制系と情緒的消耗感の関係を調整していることが明らかとなった.従って,合理性処理は重要な個人の資源として機能するが,直観性処理は必ずしも同じ役割を果たすとは限らない.経験に基づく直観性処理に頼るだけではなく,職場内訓練(OJT)や職員教育を通じ,個々の場面において合理的な意思決定ができる能力を養うことが重要であろう.