抄録
本研究は,ブランドサトイモの一つである‘上庄サトイモ’について,その調理科学的
特性における生産地土壌の影響を明らかにすることを目的とした。上庄地区とその他の5
地域で種芋(大野在来種)を栽培した。生のサトイモの栄養成分分析とサトイモを栽培し
た土壌成分を分析した。また,サトイモは,水煮の調理に供し,水分含量測定と物性測定
を行った。物性では,上庄地区で育てた大野在来種は,その他の地域で栽培した大野在来
種よりも,硬さが高かった。サトイモの硬さは,成分との相関分析の結果,たんぱく質お
よび灰分と負の相関関係が認められた。一方,栄養成分と土壌成分との相関分析では,た
んぱく質と相関があった土壌成分は,固相,液相,気相,仮比重であり,灰分と相関があ
ったのは,陽イオン交換容量(CEC)と気相であった。そのため,上庄サトイモの水煮の硬
さに影響を与えているのは,土壌のCEC,固相,液相,気相,仮比重であると考えられる。
上庄地区の土壌は,他の地域の土壌と比較すると,カリウムをはじめ,多くの項目が低か
った。上庄さといもの煮崩れしにくさをはじめとする特徴的な調理科学的性質の形成には,
栽培地域の特徴的な土壌組成が関与していると考えられた。